客先出向型IT企業(SES業態)の特徴は?

「IT企業で働いてます」

そう自己紹介する人の大半が、客先出向型のエンジニアです。私も然りです。格好良く言えばアウトソーシングですが、端的に言うと派遣です。派遣と異なるのは、在籍会社と正社員契約があるどうかですね。 

就職活動をしている時に、IT業界というものが全く分かりませんでした。社内でシステムを作って販売するだけで、IT業界は成り立っていると思っていました。何もわからずに就職してしまい、客先に出向して働いてます。

まあ、就職活動を頑張ってる人も、実際に働いてみないと、その業界の実情なんて分からないと思います。働いてから実情が分かる人も余り居ませんが。 

今日は、そんな客先出向型の企業についての紹介をしようと思います。就職活動中の学生や、転職考えているエンジニアも、今一度、IT業界の実情を知った方が良いかなと思います。

客先出向とは

IT業界は客先出向しているエンジニアの尽力によって成り立ってます。そもそも、「客先出向」とは何でしょうか?IT業界以外の人が「客先出向」と考えると、次のように思う人が多いと思います。

IT企業が、別業界の顧客のところにお邪魔して、システムを構築する。

そのケースもありますが、実際の事例としては少ないです。既にSES業態の社員だと次のように回答します。

別のIT企業にエンジニアが出向して業務を行う。 

「 え?」と思う人も多いかもしれません。恐らく、IT企業に従事している人間以外は、意味が分からないと思います。「IT企業の社員」が「IT企業に出向」とか意味不明ですよね。この意味不明な状態はIT業界では普通です。単刀直入に言えば、「人身売買」と大差ありません。

SES業態が成り立ってるのは何故?

例えばです。「Aシステム」という大手IT企業が「X商事」という大手の総合商社からシステム構築を依頼されたとします。Aシステム社は凄い実績もありますが、受注したシステムが大規模にも関わらず、納期は1年しか与えられませんでした。

しかも、その案件を見積もると、500人は必要と言うことになりました。しかし、Aシステム社は従業員が200人しか居ませんし、受注した段階で、動員出来る人間が50人しかいません。さて、1年の間に残り450人も雇うことが出来るでしょうか?

当然、無理ですよね。450人も雇ったとしても、その案件が終了した時に、すぐに同規模案件(しかも同じ値段で)を受注出来ないとお給料が払えなくなります。困りましたね。そこで他のIT企業から応援を呼びます。「こういうシステムの構築案件があるので、人員を貸して下さい」と言う具合で。

Aシステム社が50人動員、他社(複数社)が450人動員です。合計500人ですね。これで人数的には大丈夫です。あくまでも一例ですが、指示通りにプログラミングしてくれる人や、テストしてくれるが多い方が良いに決まってます。システムの詳細を知り、指示を出す人間は少なくていいのです。他の業界にも言えますが、指示を出す人間はもちろん少ないですよね。それと一緒です。

別にSES業態のエンジニアが良いとか悪いとかでは無いです。それぞれのメリット・デメリットがあるので。ですが、SES業態の企業よりも、他業界の顧客から直接受注を貰えるIT企業が良いと言う人がいるのも実情です。社内案件がある方が安泰ですからね。社内案件があれば会社自体に技術力もあるので、そこから学べることも多いです。多いだけで、全てが該当するわけではありませんが。 

客先出向型(SES業態)企業の見分け方

簡単です。ホームページを見ます。特徴としては以下が多いです。

  • 社員数だけ異様に多い
  • 主力製品が無い
  • 導入実績が少ない(実績内容が古い)
  • ホームページの更新が少ない
  • 勤務地に「等」が入っている
  • 退職金が無い

色々な方が既にネットで掲載していますが、個人的な目線だと上記です。一つずつ説明します。

社員数だけ異様に多い

典型的な例だと思います。事業所・事務所が1つしかないのに、社員が100人とか以上ですね。大きいフロアなら良いですが、実際に面接で行ってみると、フロアが狭いです。もちろん、100人も入るわけありません。物理的に押し込めば入りますが、100人がそこで仕事出来るはずがないです。

主力製品が無い

当然ですね。販売する気が無いですから。面接で聞いてみて下さい。「御社の主力製品やシステムは何ですか?」と。答えられなければ完全に人貸し企業です。

導入実績が少ない(実績内容が古い)

人貸しが中心で受託取れないので、導入実績が少ないのも当然です。また、実績内容が古い場合、過去にたまたま実績があっただけで、現在は完全にSES業態になってる場合が多いです。転職考えた時に、企業ホームページ見て実績が古い企業が多いこと。JDK1.1 で実績がありますって化石かな?って思いました。開発環境が .NET Framework2.0 とか今のOSじゃ絶対に無理ですね。WindowsServer2003でサーバ構築の実績とかOSサポート終わってるんですが・・・

ホームページの更新が少ない

例えば、「採用開始しました」とか「年末年始の営業について」とか、そのレベルしか更新していない場合は、SES業態が中心になってる可能性が高いです。全くないところもたまにありますが、それは色々とアウトだと思います。 

勤務地に「等」が入っている

「弊社事務所等」の記載があればSES業態ですね。「客先等」とかもビンゴです。面接に時に聞いてみて下さい。具体的にどこですかと。守秘義務が云々とかでボカすようであれば、会社の質に問題ありです。

退職金が無い

これは確実ですね。福利厚生扱いにしてない会社もあるので、ホームページだけで判断は難しいです。理由としては、IT業界のSES業態をとっている会社は、離職率が高いです。業界全体に言えます。転職したら給料上がりますから、バンバン転職します。社会人5年目で8社目の後輩が去年の12月に入社してきました。その子はかなり特異なケースですが、2年に1回転職とか結構あります。

じゃあSESは避けた方がいいの?

こればっかりは個人の方向性になるので、私からは何とも言えません。システム受託出来るような一次請けの会社は強いですが、それだけ人気があり採用までの道のりは厳しいです。反面、SES業態の会社は年中採用しているので、思ったより簡単に採用されます。決して簡単ではありません。年齢と共にハードルは上がります。

どちらにせよ、個人のスキルはあった方が良いです。資格はあっても無くても良いです。無くても生き残れます。但し、日本の企業体質なのか、資格が一つもないと向上心が無いとか意味不明な言いがかりをつけられることもあります。私も体裁的にどうでも良い資格を取りましたが、全く役に立ちませんでした。

IT業界で生き残るには設計と製造が出来ないと厳しいです。試験や運用・保守だけで生き残る人はいますが、給料の上り幅は知れてます。私も最初は運用・保守の現場でしたが、退職を仄めかして、開発の現場に移りました。その時、会社が離職率を気にしてたので、それを利用しただけです。決して真似はしない方が良いです。